群馬県榛名町にある『榛名湖』での怖い話

2021年1月14日

私がまだ十代の頃、ガソリンスタンドでアルバイトをしていました。勤務は主に夕方から閉店まで。

閉店が22時だったので、帰るのは大体22時30分頃でした。この頃は先輩の勧めでブラックバス釣りにハマり、週に一度くらいはアルバイトの終わった22時30分頃から群馬県榛名町にある湖「榛名湖」へ夜釣りに車で行っていました。

榛名湖は榛名山の頂上付近にある大きな湖で、昼間は釣り人やアヒルボートに乗る家族連れやカップルで賑わっています。周辺には温泉施設もあり結構いいところです。

夜の榛名湖はというと当時は頭文字Dという漫画の影響もあり、走り屋の車が多く走っていました。主人公の藤原豆腐店が榛名山の麓にある設定だったので、この峠で配達をしながらドライビングテクニックを磨いたという話。

私のアルバイト先から1時間程度、榛名湖へ着くのは大体23時30分頃、走り屋の車がなければ水面のピチャピチャとした音が聴こえてきます。

私はいつもアヒルボートが停泊している桟橋に降りて行き、桟橋の一番先で釣りをしていました。これはそんな事をしていた、ある夜の出来事です。

桟橋の先で釣り道具の準備をして釣り糸を垂れながら1時間、この夜は当たりが全くなく絶不調でした。リールを巻きまた投げる、リールを巻きまた投げる‥時刻は夜中の1時になっていました。。

不思議とこの夜は走り屋がいない静かな夜でした。あまりに当たりがないため、あと1時間して釣果がなければ帰るつもりでした。

その時でした・・・急に生暖かい風が湖面を吹き始めたと思ったら、ギッ・・・ギッ・・・ギッ・・・と桟橋に誰かが降りて来る音がしました。

まぁ夜釣りに来る人は私だけではないので、その時は特別気にしていませんでした。そして桟橋を踏み締める音はギッ・・・ギッ・・・ギッ・・・と桟橋の先にいる私の方に近づいて来ます。

ギッ・・・ギッ・・・ギッ・・・、あまりに私の近くまで来る気配がしたので、私は思わず音のする方を振り返ると突然バチャーンと大きな音がして、何かが湖面に落ちていきました。

私は慌てて人が落ちたのかと思い、湖面を懐中電灯で照らしましたが、人影らしきものは全くありません。この時に理由は分かりませんが、急にゾッと背筋が寒くなり慌てて釣り道具を片付けました。

その時です。急に何かに体を後ろから押されるのです。背中全体を強い力で押され少しずつ、少しずつ桟橋の先へ押し込まれていきます。あまりのことで声も出ず、ただ踏ん張りながら抵抗をするだけでした。

いよいよ桟橋から落ちるギリギリの所まで来た時、この夜は全くいなかった走り屋の車がブォーン、ブォーン、ブォーンと3台爆音で走り抜けて行きました。

その瞬間、私を押していた「何か」はすっと無くなり、慌てて釣り道具を持って車がある駐車場へ戻りました。何かを見た訳でも聞いたわけでもありません、ですが何か得体の知れないものに湖面に押し込まれそうになった感覚は今でもゾッとします。

その夜以降、私は夜釣りに行くのをやめました。あの時、車が通らなかったらどうなっていたのか分かりません。